思い出したようにとどく手紙

蟻の涙、しずしずとした語り
永井玲衣 2026.08.03
誰でも


永井玲衣です。いつものようによくわからない話からはじめると迷惑メールだと思われてしまうので、冒頭で名乗りました。四年目の、四回目の手紙です。それはつまり、年賀状とほとんど同じなのだ。

思えば、よくとどく迷惑メールというか詐欺メールは「松本潤です。」から始まっていることが多い。名乗ればいいというわけではないということか。でもわたしは本物です。

応答がはじまった

昨日は宮古島で表現と対話のワークショップをしまして(すべての瞬間をすべて保存しておきたいほどにすばらしい場でした)、先週は香川、その前は静岡、愛知、大阪、福島、今週は茨城、広島と、とにかく呼んでいただける場所に向かう日々をつづけて数年経ったわけですが、これを継続すると同時に、どこかに拠点をかまえて、いま必要だと自分が感じる場をひらきたいなと思うようになっていました。

社会はどんどん不安に満ちて、無力感やむなしさばかりが積み重なっていくようです。互いを人間だと思えないような構造の中で、つねにすでに一緒に生きているわたしたちが、また他者に、自分に、世界に出会い直そうとすることのできる場をつくらなければいけないし、傷ついた社会を修復していけるような対話や表現の場が本当に必要だと思っています。

そうしたことから、いろいろな偶然が重なり、東京の門前仲町に拠点を構えることになり、すばらしい仲間たちと新たな試みを立ち上げました。

でもそれは何かをとにかく発し続けていくのではないように思え、まさに対話の場で起こっているような、誰かの声があるからこそ表現が可能になる「応答」という身振りに立ち返りたいなという思いがあり、そのまま新たな試みを「応答」と呼ぶことにしました。

「応答」のことば

「応答」のことば

応答」のロゴとイラストは、この「蟻の涙」を背景にして磯崎未菜さんが描いてくれました。いいでしょう。「ひとりひとりの表現する手が、その涙(ちいさな無垢)をたずさえている」、「手渡していく」ことでもあると。そんな場にしていきたいなあ。

8月のテーマは「場がうまれる!!」

ということで、8月から、新しい拠点でたくさんの場がひらかれます。ぜひいらしてください。詳細はLivePocketのリンクよりどうぞ。それぞれ申込期限があるので、お早めに!(⑦以降は、申込期限が伸びました)

①8/7(金) 19:00-21:00|Waves ダイアログ 「たいわでであう」
申込期限:8/3月23:59 発表日:8/4火  

②8/11(火) 10:00-12:00|おずおずダイアログ
申込期限:8/4火23:59 発表日:8/5水

③8/12(水) 19:00-20:00|かたん
申込期限:8/8土23:59 発表日:8/9日

④8/15(土) 14:00-16:00|せんそう、あなたはなんですか? せんそう文学を読んでみる
申込期限:8/9日23:59 発表日:8/10月

⑤8/15(土) 18:00-20:00|せんそうって
申込期限:8/9日23:59 発表日:8/10月

⑥8/16(日) 13:00~15:00|夢の中の家族 在日ハンセン病者の詩をよむ
申込期限:8/12水23:59 発表日:8/13木

⑦8/22(土) 14:00-16:00|もがく声をきく - 舞台芸術 -
申込期限:8/18火23:59 発表日:8/19水

⑧8/23(日) 10:00-12:00|Waves ダイアログ 「たいわでであう」
申込期限:8/19水23:59 発表日:8/20木

⑨8/26(水) 15:00-17:00|よくわからない絵となかよくなるための練習
申込期限:8/22土23:59 発表日:8/23日

⑩8/29(土) 14:00-16:00|Waves 哲学対話 テーマ:場をつくる
申込期限:8/22土23:59 発表日:8/23日

⑪8/30(日)13:00-15:00|カメラ・オブスクラ 部屋をおっきなカメラにして風景をなぞろう
申込期限:8/22土23:59 発表日:8/23日

↓まとめて下記より詳細がチェックできます。

「応答」ではいろいろなチャレンジがありまして、一つは先着順ではないこと、もう一つは参加費を選べることです。対話の場はどうしても席が限られるのですぐに埋まりがちで、気がついたら募集が終わっていた、という声もよく耳にします。少しみなさまにお手数をかけてしまうのですが、抽選でやってみます。とはいえ、参加者が殺到しているわけではないので、あまり遠慮せずにガンガンお申し込みください。

次に参加費についてですが、ご自身の現在の経済状況によって選んでいただくというのも一つなのですが、誰かのぶんの参加の機会や場作りに多めに払っていただけるという余地もつくってみました。なかなか表現や対話の場にアクセスしづらい方々にも無料や低価格で来ていただけるような仕組みを考え中で、現代のあしながおじさんを大募集中です。日本は寄付文化がなかなか根付かないとは言われますが、いろいろなチャレンジができたらと思っているので、ぜひ一緒に場をつくっていただけるとうれしいです。とはいえ、どうかご無理のないように!!


詳細はInstagramで更新中です。

お会いできるのを楽しみにしています!

新刊で八木咲との共著『せんそうって』が出た

この写真も、もちろん八木咲さんが撮りました

この写真も、もちろん八木咲さんが撮りました

文芸誌「群像」で、写真家の八木咲さんと一緒に連載をしていたものがついにまとまりまして、講談社より発売されました。いろいろな場所で「せんそう」について対話をし、声をきこうとし、考えてきたことを書こうと試みました。途中で八木さんの写真もたくさん入っていて、ぜひみんなに手にとって見てほしいなと思います。

この本からさらに語りが生まれることを願ってつくったので、たくさんの語りがここからまたしずしずと出てくるといいなあ。もっと話そう。

関連するトークイベントなども多数予定しております。

8/8土 せんそうって「だれかのせんそう」@ハチドリ舎

※8/6と8/7にも、ハチドリでもろもろのイベントあります

8/14金 『せんそうって』(講談社)刊行記念 永井玲衣「せんそう、あなたはなんですか」
@本屋B&B or 配信(アーカイブ動画有)

※candlelightのアリサさんに聞き手をつとめていただきます!

8/19水 永井玲衣×八木咲 「あなたにとって、せんそうって」@代官山蔦屋

その他これから発表があるかと思います。よろしくお願いします。

最後にどうでもいい最近のこと

・「ドラマツルギー」ってどういう意味だっけ、と100回調べる人生なのだが、調べるたびに、えこんなに難しい概念だったっけと思う。

・「どん亭」に行くべきか、そうでないか?という悩みで午前中が潰れる。高校のときにゴーゴリの『どん底』を机の上に置いていたら、友人に「永井、どんてい忘れてるよ」と言われたことを思い出す。

・数年前の穂村弘さんとの対談を読み返す。好きな歌人を訊かれて「それはやはりまず穂村さんということになりますね」などと過去のわたしが答えている。こんなえらそうな喋り方していたのかよ。

・ある対話で、参加者のおばちゃまが「人間はむかし、動物だったからね……」と発言し、隣のおばちゃまが「うん、今もね」とつぶやいたのがすごくよかった。

・那覇でご飯を食べていたら、新しく来たお客さんが「いま予約されたタカハシです」と店員さんに伝えていた。中動態?

・スマホのメモを見返していると「カレー あぶりチーズ」というタイトルのメモがあり、ひらくと「カレー」とだけ書いてあった。本文の方が情報が少ない。

・子どもも大人も混じるてつがく対話で、小学生が「なんでさあ、失ったものを美化しちゃうのかな」という問いを教えてくれる。「どちらか選ぶとき、選んだほうに満足しているのに、選ばなかった方をいいなあって思っちゃうんだ」。すごいなあ。大人が「わかる、クズの元彼とかね」とつぶやく。たとえばどういうものについて思うの?と子どもに訊いてみると、「おもちゃとか」とのこと。具体例は子どもの世界でとてもよい。

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