やっぱりたまにとどく手紙

この手紙は、はじめてから3回目なのだが、3年目なのだ。歴は長いが回数は少ない。人生にはそういうものがたくさんある。
最近のできごと
・民主主義ユースフェスティバルで出会った高校生が「わたしにも右翼左翼ありまして……」と言うので、ふたつの人格があるのかと思ったら「紆余曲折」の間違いだった。
・ある対話の場で、多趣味だというひとが「生まれ変わってもやることがある」と言っていて、とてもよかった。
・「土地を貸して、馬糞をもらっている」と教えてくれたひとがいた。全く釣り合ってなさそうに見えるのに、そこにはすがすがしい贈与と交換が起きていた。
・広島の平和記念公園近くを歩くと、中途半端なのに明らかにでかすぎるガンジーの像がある。G7サミットきっかけでモディ首相から贈られたという。いつも通りかかると、どんな感情を持っていいのかわからない。ハチドリ舎の安彦さんが「ガンジーかわいそう、あんなでかい顔したくないだろうに」というつぶやきを思い出す。
・釜ヶ崎でNPO法人「抱樸」の話になる。とげとげしい荒木を抱きしめるという意味だそうだが、おじさんが、別のおじさんに「抱えて、撲(なぐ)るんや」と間違った漢字を教えてしまう。逆過ぎる。
・対話は、自分の考えを話すだけじゃなくて、ここにいない誰かのことが話される。もう死んでしまったひと、しばらく会っていないひと、もうずっと忘れていたひと。すると不思議なことに、そのひとたちも一緒にこの場にいるような気がしてくる。対話の終わりに思わずそう伝えたら、ひとりの参加者がわっと泣き崩れた。「おかあさん」と異国からきたそのひとはつぶやいていた。
これまで出会ってきた大切なあなたへ
もうすぐ選挙だ。政治は、どっか遠いところで行われている何かではなく、わたしとあなたのいのちのあり方を決めること。いのちの問題。投票とはあまりに重くて、わたしはいつも苦しい。
最近の社会の流れに、また新たな切迫感を持っている。いてもたってもいられなくて、こんな文章を書いて、Instagramに投稿した。手紙にも書きます。


やさしいあなたが、やさしくない社会をつくることに加担してほしくありません。この件についてはきっとまた手紙を書きます。
きてほしい場たち
『さみしくてごめん』(大和書房)を出版しました。手にとってくださった方、ありがとうございます。たよりない言葉がたくさん書かれています。でも、こうした言葉たちは脅かされてもいます。このような状況に抗うため、わたしたちの大きな脅威である核兵器をなくすために心と力を尽くし続けているひとびとによってつくられた「核兵器をなくす日本キャンペーン」に、この本の印税を全額寄付します。ぜひお気に入りの書店でご購入ください。一人何冊買ってもいいんですよ。

そのおかげで、結構いろんなイベントをしたり、あと普段の対話の場があったり、関係なくトークイベントがあったりしています。全部紹介しているとアレなので、7月分をいくつかピックアップするのでぜひきてください。
7月13日(日)ペーパードライブ(西川あやの 大島育宙 永井玲衣)イベント @梅田ラテラル
前世が「夜ふかしの読み明かし」でいまは「ペーパードライブ」となったpodcastの初のイベントです。「恋心」をテーマに、三人それぞれが「これぞ恋心だ」と思う好きな本の一節を持ち寄り、自分の体験とからめながら、どの一節がいちばん「ぐっとくる」か勝負する企画です。
いまだに「podcast終わっちゃって残念です」と言われますが、終わった次の週からペーパードライブが始まっているので、ぜひきいてください。Youtubeもやってます。
ちなみに7/12と7/13は、大阪の西成にある釜ヶ崎のココルームにて、いくつか釜ヶ崎芸術大学の講座もやる予定です。気になる人は調べてみてください。めちゃくちゃで楽しいです。
7月16日(水)「さみしさと弱さについて」穂村弘さんとトーク@代官山蔦屋
7月21日(月)「日常 / 世界と出会い直すー詩人と哲学者の方法で」向坂くじらさんと@UNITE
7月23日(水)ヒロシマを聴きあう@東京都写真美術館
東京都写真美術館にて「被爆80年企画展 ヒロシマ1945」という大切な企画があります。そこで「ヒロシマを聴きあう」対話の場をひらきます。80年前のモノクロの記録にまなざしを向けながら、互いの声に耳をすませる戦争と原爆をめぐる対話を試みます。対話の日程が合わなくとも、この展示はぜひ見てください。わたしは何というかもう、泣けて泣けてしょうがなかった。
申込みは下記から。
7月29日(火)新刊記念おしゃべり会@二子玉川蔦屋家電
激ゆるの会。まずはスタッフさんに聞き手になってもらい、あとはほぼ会場から質疑応答を受けつづける会。ききたいことあったらきいてください。わたしが応えなくても、誰かが応えてくれるでしょう。
7月31日(木)「わたしたちの社会はさみしいのか?」奥田知志さんと@B&B
知志さんが新刊を出すということで、一緒に「さみしい」をスタート地点にしておしゃべり。楽しみだなあ。
また手紙を書きます。
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